建値制と薬価について考える

  製薬メーカー側が反撃に出た。これまで厚生省は度々薬価調査を行い、薬価を実勢価格に近づけるという方式を取って来た。厚生省の天下りを数多く受け入れている製薬メーカー群はその裏をかいて、建値制を錦の御旗にメーカー間でカルテルまがいの価格協定、そして、皆でやれば恐くないとしてサービス低下の取り決めをして薬価を維持し、増益を図る作戦に出たのだ。この結果、かなり縮小してきたもののまだ残っていた薬価差益の大半がメーカー側へ吸い上げられ、製薬メーカー大手8社の今期決算大幅増収という形になったのはご存じのとうりである。この8社だけで売上高2兆3千億円、経常利益3千3百16億円、平均13%増というから驚きである。この額の大半は我々医療機関のものだったのではなかろうか。

 聞くところによると、MR、MSの数もアメリカの2倍だという。この4月からのサービス低下協定でこの数は必要ないはずである。 こうした状況に怒りの声は満ち満ちている。新薬を5年間買わないようにしよう、ゾロ品に代えれるものはできるだけ代えよう、現金問屋も利用しよう、MR、MSにはこちらから用事のあるとき以外は会わない、薬価が高くかつ使用量の多い順に20−30品目を各問屋から見積りを取って再検討しよう、支払いを最低6ケ月以上延ばそうなど、いろいろ対策を立てる必要もあろう。

 日医も大胆な戦術転換をはかり、現在の薬価調査による次期薬価改定方式をやめ、薬価の大幅な引き下げと、それを原資とした技術料の大幅引き上げを働きかけてもらいたい。

※この記事は県医師会報1100号にすでに投稿済みのものですが、浜松市医師会総会でこの問題に関するフリートーキングが予定されておりますので、討論の資料として間に合うよう先に掲載しました。


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