静岡県医師会報・平成7年1月1日発行

平成7年の新年のご挨拶

静岡県医師会理事・平良 章

 明けましておめでとうございます。一昨年の酉年はいろんなものが壊れる変革の年、昨年の戌年はそこから立ち上がるためのリストラの年と位置付けましたが、今年はどうなるでしょうか。景気の回復もきわめてなだらかで、おそらく本当に回復したと実感できるのは2〜3年あるいは4〜5年先のことのように思われます。当分はそこへ向かってせっせと贅肉をそぎおとし、リストラに努めていくしかないようです。昨年はインフルエンザの流行がなかった、花粉症も少なかったとはいえ診療所の外来患者数が前年に比べ5〜10%も減少したということは不況とあながち無関係でもなさそうです。「風邪は自然治癒力にまかせて寝て治せ」という薬事審議会のご高説により消炎鎮痛剤は頓服のみの使用に限定されてしまいましたが、不況だからこそ残業もなく、ゆっくり寝て治せるというわけでしょうか。そういえば最近風邪の患者さんで、今朝からとか昨日からとかいうより一週間以上前からというのが多いような気がしませんか。

 バブル崩壊後の混乱期はまだまだ続いていて、政治もいつまでもその進むべき道を決めかねているようですし、官僚も秩序を失ったかのようで消炎鎮痛剤の件でも通常経過措置品目というのは半年くらいは有効であるはずなのに9月9日に発表はしたが施行日を書き忘れて医療現場の混乱をもたらし、日本医師会も施行日を問いただすこともなくいつしか使えなくなってしまいました。予防接種法も6月23日に法律が議会を通過すると、いくらも周知期間をおかずに、また実施主体である市町村の予算措置も考慮する事なく、ガイドラインや保護者への説明の冊子の印刷も間に合わない性急さで、いきなり年度途中の10月1日施行という暴挙に出ました。

 私たち県医師会の執行部にいるものが歯痒く感じ、苛立ちをかくせない状況ですから郡市医師会の担当理事、会員の皆様のお腹立ちは当然のことと思います。議論の中で試行錯誤しながらの対応となっていますが、患者さんのためを思い、同時に医師の身を守るという基本線を守っての試行錯誤であることをお許し願いたいと思います。

 かくなる上は、村瀬会長だけが日医ではなく、日医執行部だけが日医でもない、私たち一人一人が日医であり、県医師会であり、郡市医師会であるという自覚で『あなたまかせでない議論』を沸騰させたいし、その意見を素直に吸い上げて行く執行部であって欲しいし、ありたいと念願しています。そういう意味で、どこかの役員であるかないかにかかわらず、いろんな意見、質問などいろいろいただきたいと思います。不在、診療中など電話対応でご迷惑をおかけしないためにはFAXが一番ありがたいと思います。今年もそういうことで一年よろしくお願い申し上げます。

FAX053−441−4052


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