平成7年度の検尿集計がまとまりましたので、ご報告致します。今後の児童・生徒の健康管理にご活用いただければ幸いです。
試験紙のメーカーが提供するポスターに「おしっこはえらい」というのがあります。慢性腎炎や糖尿病を初めとして初期にはまったく自覚症状のない数多くの疾病において、これらを早期に発見する手立ては検尿がなにものにも勝るからということです。近年、乳児から高齢者までの生涯検尿制度を導入することが、腎疾患の早期発見と早期治療に理想的とされ、その重要性が叫ばれております。得られたデータにつきましても、これを各個人のものとして生涯つながりのあるようにするため磁気あるいはICカードなどに記録するなどの試みも一部で始まっています。これまで問題とされた無症候性血尿、無症候性蛋白尿の長期観察例についても本当のところはどうなるのか、一部でデータが出始めていますが、それを見ますと潜血陽性210例の7−16年の長期観察例で陰性化101例、48%、悪化33例、16%また蛋白陽性群32例のうち陰性化19例、悪化3例と比較的陰性化する率が多いようです。中でも沈渣で円柱の出現するものに悪化率が高いようです。そういう目でまたこれからの検尿データを見て行くのも重要になってくるのではないでしょうか。