本日はお招きをいただき、大変光栄に思うとともに多くの大先輩、同業の方々を前にして、多少なりとも参考になるお話しができるかどうかはなはだ心細い次第です。室久院長先生から浜松市医師会のウイークリーや静岡県医師会報に書いた今回の診療報酬改定を機に日本の医療の行く末についての予想と対策について医療センターの医局会で少し話をしろとのご命令でおそるおそるやってまいりました。まず簡単に自己紹介をさせていただきますが、
昭和21年、1946年アメリカ統治下の沖縄・宮古島で生まれた。戌年生まれで今年は年男、クリントンと同い年である。オーケストラのトランペッターとして身を立てるべく、琉球大学を経由してアメリカ留学を試みたが親の反対で断念、退学して今度は文部省の国費留学生として徳島大学医学部へ配置され、昭和47年卒業した。専門課程の4年間は学生運動の最中で4年間、クラス総代としてクラスをまとめる立場で教授陣とも渡り合った。卒後第一内科入局、初期には血液学、ビキニの実験で有名になり、後に進行性筋ジストロフィー症の原因究明に情熱を燃やした三好和夫教授の下で10年余の研究生活を送った。定年退官、次期教授選を迎えて助手、大学院講師で退職、現在も非常勤講師を委嘱されている。三好和夫教授の言葉の中で特に記憶に残っているのは医局の新人勧誘で“学業成績は関係なく、何でもいいから何かに燃えた奴を引っ張って来い”という指示、これは、・・・
それとわたし自身の座右の銘ともなった“信用は砂上の楼閣”という言葉です。信用というものは・・・
さて、前置きが少々長くなりましたが、先日医療センターで医薬分業のシンポジウムがございました。私も医師会、薬剤師会双方の関心をもつ方を集めて医薬分業の勉強会を企画して来月4回目の案内をまたウイークリーに近々載せますが、そうした関係で室久先生からも指定発言をと言われていたのですが当日静岡県医師会の医政研究会が入ってしまい、私が日本医師会の医政シンポジウムの報告としてアメリカの医療改革について話す責務を負っていましたので、残念ながら出席できませんでした。この日は日本医師会の坪井副会長をお呼びして“最近の医療情勢について”という題で約1時間お話しを伺い、その後の接待の席で約2時間膝詰めでいろいろお話しを伺いましたので日本医師会の執行部の考え方というのも大体把握できたような気がしましたし、いろいろ注文も申し上げました。
先にくすりの話から始めたいと思いますが、私も来月から分業に踏み切る予定です。内科系ではまだまだ薬価差益が捨て切れずメリットが少ないとの声が数多く聞かれます。静岡県医師会、浜松市医師会ともに医業経営担当理事である私がなぜという声もあります。立場上リベートなしでやりますからいろいろな思いがありますが、今日は薬価差益という観点からの話に絞って考えてみたいと思います。
過去にくすりで儲ける不幸な時代がありました。技術料が上がらない次期に薬価差益は医師の技術料の一部であるという日本医師会・厚生省の合意が成立していました。1000錠買えば1万錠添付とか、クラウン1台進呈とか、外国旅行ご招待とかが横行し、薬9そう倍という言葉も生まれました。薬漬け医療といわれましたが、多くのくすりを貰うことに慣れた患者さんたちはくすりをたくさんくれる医者が良い医者であるというふうに飼い慣らされつつありました。今、厚生省は、医療費抑制の為になんとか薬剤費を減らそうと診療報酬の面でも、マスコミを通じてのキャンペーンも、業界への圧力によっての建値性もあの手この手の方策が次第に効果を現しつつあります。それでもまだ日本の薬剤費はアメリカの3倍、これは私たち医師がそうした流れについていけず薬で儲けた時代の感覚、そうした先輩に薬の使い方を教わって来たそのパターンがなかなか変えられない、それでいて日本の医学教育はろくに薬のことを教えていないのです。今、医薬分業の論議の中で薬物の相互作用、重複投与などが話題になりますが知らないことが多すぎる。私がそういうことに詳しい訳ではありませんが1冊の本を
紹介してみたいと思います。
「本」
わずかに残った薬価差益にしがみつくよりも薬のことは薬剤師にまかそう、ましてや先生方は薬価差益とは無縁の勤務医なのでありますから、この本に書いてある程度のことは勉強するとしても、大筋は薬剤師にまかせ、なるべく必要最小限度の薬を良く説明して投与する方に回るのが得策ではないでしょうか。もちろん薬剤師教育の問題とか不安もありますが、私は近くにできる調剤薬局の薬剤師のみならず希望する薬剤師を3人引き受けて私のオフィスで臨床医学の現場教育を実施しています。
薬の話はこれくらいにして、静岡県医師会報のとびらのことばの順序に沿って話をすすめたいとおもいますが、次はマルメについて考えてみたいと思います。
「マルメ」
3月11日メディファックスの登録料
「特定療養費制度」ビタミン剤の件、漢方はどうなるか
ついでに開放型病院のメリットの生かし方
開放型でない所も点数は低いが同様の趣旨の点数がついた
「かかりつけ医」と在宅医療
「保険医の定員制と定年制」登録・更新と生涯教育申告の必要性