診療協議会で講演

「診療報酬の改定とこれからの医療の青写真」
<メモ>

静岡県医師会・浜松市医師会理事 平良 章

・だいそれた演題をいただいたがまだ私自身が描き切れない
・診療協議会:参加するものだと思っていた。理事会はじめ県医師会関係の会合が木曜日が 多くなかなか参加できず残念に思っていたら、演者を依頼されびっくりし、また困ってし まった。
・細かい改定の内容については種々説明会もあり、実際に3カ月たって大体わかってきたの で、新しい点にふれながらなぜそうなってきたか、これからどうなるかを考えてみたい
・昨年12月のウイークリーに投稿した「診療報酬来年3月改定に関する最新情報と解説」が 以外と反響が大きく、県医師会報の「とびらのことば」に焼き直しを依頼され、その記事 がまた反響を呼び医療センターの医局会で話をするよう室久院長に命ぜられ、引き続いて 診療協議会でという順序で来た。その間、県医師会医政研究会で講演した日医の坪井副会長がもう私の記事を読んでいたらしくいろいろ意見を求めてきたのに驚いた。

・今日の話の出発点は朝日新聞のかかりつけ医モデル事業に関する記事
続いて日医村瀬会長、坪井副会長、糸氏常任理事の日医ファックスニュースその他でみる 発言、それに対する浜松市医師会の対応の文章を書くよう大久保会長に命ぜられた。
・すでに葬られたはずの「家庭医機能」のことを調べた
その過程で昭和62年の「国民医療総合対策本部中間報告」に遭遇した
 驚くべきことに昭和62年以後現在にいたる厚生省の施策はこれに忠実に進められている。 まだ実現していないのは進行中の給食費自己負担と医師の生涯教育とのドッキングを目指 した保険医の更新制だけだった。なお、最終報告はまだ出ていない。

・長期入院の是正と称して病院から患者を追い出すために、老人保健施設以外の中間施設を 検討、整備による施設ケアの充実、慢性病院と急性病院の区分など医療機関の機能、役割 分担の明確化、病床規制、また訪問看護、在宅介護など在宅ケアの充実、そしてそれを担 うべく家庭医機能の充実が必要とされ、村瀬会長が提唱したと主張するモデル事業を行う ことがすでに明記されている。
かかりつけ医のアンケート(患者の側、医師の側)、かかりつけ医のみつけ方

・かかりつけ医の支援策として開放型病院協同指導、開放型だけでない
・大学病院等における医療、研修の在り方の見直し、保険医の登録要件の見直し
 ドイツの例、保険医数の凍結と定年制
 日医の生涯教育の必要性
 保険審査の問題、医師会主導にしなくては
自浄作用を真剣に考えるときがきた
・いまや大学は火の車、収入は国庫へ、支出は予算で
・情報提供機会の拡大として広告規制の緩和、インフォームド・コンセント
・病院給食の改善と費用負担の在り方の検討
・これに対する日医の意見、とうりいっぺんのお題目のようだ
・そして平成4年12月、厚生省寺松健康政策局長から大蔵省主計局へのマル秘文書
それがもう平成6年3月のメディファックスにも垣間見える

どう対応して行くか
1.くすりはどうなるか
10剤規制の心理的影響、5剤規制はありうるか、薬価はどうなっているか
 ビタミン剤、パップ剤、漢方薬にとどまらない保険外し、特定療養費制度
 ゾロ品の奨励と処方箋の成分名OK、医薬分業の推進
 結局はすべてのくすりを保険給付から外し、アメリカ式に処方箋をもって薬局で買うのか 昨年11月の薬剤師会での薬務局企画課安倍課長補佐の講演:老人の外来診療の定額制
 将来の定額制拡大を見据えて現段階からの処方箋応需体制の整備をと
今年4月から私が医薬分業に踏み切った理由、3カ月間の印象

2.在宅医療にどう取り組むか
 マッチ箱の住宅事情を無視しての在宅医療の推進には批判の目をもち続ける
 現実には在宅医療に取り組むことが生き残りの道だと経営コンサルタントは口をそろえる セコムなど営利企業の参入に対しては医師会がシステム化で対応するしかない
 病院の往診部門:中小病院はやり始めるだろう、それが中小病院の生き残り戦略になる
 一人開業医は寝たきり老人の医療から弾き出されるかもしれない
 中小病院が老人訪問看護ステーションと在宅介護支援センターを併設し、それと急性病院、 中間施設とのキャッチボールを眺めるだけになるのか

3.消費税の問題
 89年の消費税導入時に、「物を買うのはがまんすれば良いが、病気は待ったなしだ」とい う日本医師会の主張で非課税となって以来、患者さんから取れない分、最終消費者でない 医療機関が被ったままである。診療報酬に含まれているとの説明を額面どうり信じるもの はないだろうが3%が7%あるいは10%となった時、経営が成り立つだろうか。事業税が 取引材料に使われてはかなわない。課税、還付、軽減税率といった方法を模索

4.日本医師会、今のままではどうにもならん
 厚生省と喧嘩するより連携を密にして早い時期から良く相談を、浜松市助役や県衛生部長 日本医師会常任理事にプラスして専務理事を
 医師の政治活動、必要だろうが医師だけでなく全医療関係団体を束ねる役割を


「診療報酬の改定とこれからの医療の青写真」
抄録

静岡県医師会・浜松市医師会理事 平良 章

  近年の診療報酬の改定は昭和62年の「国民医療総合対策本部中間報告」に沿って進められている。そこから次代の姿を予測し、今から手立てを考えなくてはならない。すべての薬が保険給付から外れ、在宅医療には営利企業が参入し、医師過剰、保険医も生涯教育とドッキングした更新制となった時、私たち医師は医師会を中心としたシステム化を強化し、厚生省からスタッフを加え、また、全医療関係者連絡会議を構築して明日の日本の医療のあるべき姿を追及していかねばならない。


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