浜松市医師会ウイークリー

麻薬施用者免許返上を試みて

浜松市医師会理事 平良 章

 

  開業して12年、大学時代は当然各種がんの末期の患者さんなど麻薬を使うケースも多かったし、開業しても在宅のがん患者に対して必要になるケースもあるだろうと考え、開業時に当然のごとく麻薬施用者免許をいただきました。しかし、いざ開業してみると麻薬を使うようなケースは病院へお願いすることになりとんと用事がないのです。そのうち2年に1度の免許更新時の診断書が苦痛になって来ました。わたしの場合は近くの矢野陽次郎先生にお願いしておりましたが、診断書料を受け取っていただけずにご好意に甘えて参りました。何度か免許を返上しようと思いましたが、最初スズケンさんに納品して貰った時に念のため封を切って中身を確認したのが運の尽きで麻薬廃棄のことで相談した何人かの方々に「0.1gでも足りないと大変だよ、封を切ってあると少し減っているかもしれないし」と脅かされ、また在宅医療の比重が高まるとやっぱり必要なケースが出てくるかも知れないと思い直したりしてだらだらと続けて来ました。しかし、今年もまた更新の時期が来てだんだん憂鬱になり、ついに免許の返上を決心した訳です。

  まず、スズケンさんに相談して保健所から「麻薬廃棄許可申請書」をいただき必要事項を記入して10月18日に提出しました。折り返し保健所から確認の電話があり、毎年9月末日現在の「麻薬管理者業務届」は提出して貰いたいとのことですぐに書いて提出しました。この時、「麻薬使用簿」はありますかと聞かれびっくり、開業してからは使ったことがないのでどこにあるかわからない、そこでまたスズケンさんにお願いして急いで用意して貰いました。その後数日して保健所から11月15日の午後1時30分に県の薬務課から係の方が来ますが都合はどうですかとの連絡があり了承、当日を迎えました。約束の時間きっかりに県の薬務課の方と保健所の方が来訪、身分を証明する写真入りの種類を提示して確かに麻薬を処分できる身分の方であることを確認、全く使用していないことを使用簿と現物で確認し、「麻薬廃棄許可書」をいただきました。この後免許証返還のための書類に記入している間に係の方は診察室の手洗いの流しに麻薬を流していました。業務廃止の理由は《麻薬取り扱い中止のため》ということで良いようです。最後にリンコデの空き瓶とオピスタンの空アンプルをいただき、産業廃棄 物の缶に処分して以外とあっさりそして無事に終了しました。

  またいずれ必要になれば申請すればいいことなので、とりあえずは免許更新の煩わしさから解放されてホッ、紙面をお借りして矢野先生、長いことありがとうございました。


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