浜松市医師会ウイークリー

新指導大綱・監査要綱について

浜松市医師会副会長 平良 章

 重野先生のご質問に会長に代わってお答えする形で、このことにつき私が静岡県医師会社会保険担当理事として参加し、現在までに静岡県民生部保険課と打ち合わせ、合意した事項についてご説明申し上げます。私たちもほぼ同様な心配をし、反発して打ち合わせに臨みました。第一回が2月29日に行われ、その時の私の浜松市医師会理事会での報告が噂の源になっていると思います。しかし、それは交渉の途中経過であり、ウイークリー等で詳しく説明するには時期尚早であると判断し、3月28日の第二回の打ち合わせに向けて理事会や社会保険委員会のご意見を伺うという方法を取りました。その第二回の報告は4月9日の理事会で行う予定です。私も速やかな情報伝達や幅広く会員の意見を聞くことの重要性は感じておりますが、一般会員以外の手にも渡るウイークリーはそれには使えない、パソコン通信で会員しか入れない会議室に情報を提供してレスポンス発言を募るのが最も良いと考えたのも「浜松ドクターズネット」を作った理由の一つですが未だ会員も少なく私自身にも情報を打ち込む暇が無く現在はまだ機能しておりません。今後の課題と思います。

 40年ぶりの大改定となった保険医療機関並びに保険医の指導は静岡県では以下のように行われます。形態は集団指導、集団的個別指導、個別指導、特定共同指導の4つです。集団指導は新規指定のみで逆に新規指定という理由での指導はこの集団指導のみとなり従来の開設1年後を目処とした個別指導はなくなります。個別指導はほぼ従来どうりの方法で
@個別指導の結果、再指導となったもの又は経過観察であって改善のみられないもの、
A支払い基金等の審査委員会、保険者、被保険者等からの情報提供ないし疑義により必要と認められたもの、
B不正請求等に関し監査を行った保険医療機関。
C集団的個別指導の結果、対象のレセプトの大部分が適性を欠くもの、
D集団的個別指導を受けた保険医療機関のうち、翌年度もなお高点数であるもの、
E正当な理由なく集団的個別指導を拒否したもの、
Fその他必要と認められたものとなっています。特定共同指導は厚生省が行うもので平成8,9年度は病院のみを対象とすることになりました。

 さて、問題の集団的個別指導は診療所では支払い基金の審査委員会での把握に基づく別表の11区分の主たる診療科を基準として、小児科、産婦人科は社保家族、その他は社保本人の平均点の高いもの(今年度は昨年11、12月)から順に上位8%、ただし平均点の1.2倍までのものは除き、また取り扱い件数の少ないもの(月10件未満、精神科は5件未満)も除く、国保その他は参考にするとなっています。なお、社保本人または家族に限定しない各科の平均点は3月15日号の静岡県医師会報17ページに掲載されていますので大凡の目安にしていただきたいと思います。指導対象を選定するのは保険課長、指導医療官など16名の行政のみからなる選定委員会ですが、必ず静岡県医師会の同意を得ることにしました。あくまで対象は「レセプト」5−10枚(集団のあと個別各20分間)であるのでそれを説明するための資料として各自の自由意志でカルテを持参し、当然見せなくてもよいということにしました。静岡県では準備の都合上、今年度は6月から実施します。指導の場所は多いときは東、中、西とし、少ないときは静岡市で行う、県医師会関係者が立ち会う。郡市医師会長の立ち会いについては必ずしも求 めないが立ち会ってもよいことになりました。静岡県の指導医療官は定数医科2名のところ斎藤先生1名であり、これまでも県医師会社会保険担当役員が時々代理で新規の個別指導を行っていましたが、今後はそうした方を含め県医師会のアグレマンの得られた審査委員の経験をもった医会の指導的立場にある方などを「保険医療指導医」として正式に委嘱して集団的個別指導を担当していただく、斎藤指導医療官はできるだけ病院の方の指導に回るということで合意しました。これが日本医師会の言うピアレビュー(同僚審査)となっていくことが厚生省との間で合意文書も交わされているとのことですし、医師会の自主指導と違って権限の伴った医師仲間の自浄作用を発揮する手段となっていくものと信じます。

 浜松市医師会理事会でのご意見を受けて私は精神科や産婦人科など静岡県医師会保険担当理事に専門家のいない科については医会の代表を立ち会わせよと発言しましたが、そういう方はむしろ「保険医療指導医」に委嘱し是非指導する側に回っていただきたいとの斎藤指導医療官のお答えでした。

 日本医師会糸氏副会長は今月2日の代議員会で「集団的個別指導がなぜ起きて来たか。基本的には医師会というひとつの学術団体の中で、少なくともお上の厄介になっていろいろやられることには耐えられない。我々のことは、我々で始末をつける、自ら直して行くというのが学術団体としてのスタンスで、官僚がああしろ、こうしろと言うことは受け入れたくないというのが基本的考えである。従って集団的個別指導、ノーペナルティーで指導というよりむしろ懇談に近い形のものであるが、これはあくまで医師会がやるものだ。ただその選定について京都の歯科の問題があり、医師会に任せておけないということで行政が全て握ってしまうという訳だが、これには徹底的に闘い、3月28日ぎりぎりになって向こうが折れて、医師会の同意を得たものについてやることになった。各県で県医師会の保険担当と行政レベルが良好な関係でやって来ているので、それを潰さず、官僚サイドで走るということが絶対にあってはならない。厚生省も高点数は悪ではないと断言しており、今の医療レベルを維持しようとすると、点数が高くなるのは当然で、むしろ低点数の方がろくな医療を行っていないということで問 題だ。地方においても、こういう機会を通じて高点数が何故悪いかということを行政に逆にレクチャーする態度で頑張って欲しい」と発言しています。同じ高点数であっても医師仲間が見れば内容はわかるし、おかしなことをしていれば指摘できます。審査委員を経験した同じ科の指導的立場の医師が行政を従えて指導するという形ですから犯人扱いされているような従来のイメージは変わってくるのではないかという期待もあります。決して恐れず堂々と自分の医療水準を示し、萎縮診療にならないよう頑張りたいと思いますし、今後の実際の指導の結果を見、また指導を受けた方々のご意見も伺いながら静岡県でのより良い保険診療のあり方を一緒に考えて行きたいと思います。


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