外国人労働者の
        医療の問題について

 外国人労働者特に短期滞在者、不法滞在者の医療費用の問題については別紙のとうりの実情です。芸能人を装った風俗営業関係者、売春の問題なども含めて不法就労者は後を絶たずブローカーや雇用主の責任を問う声も根強く、同情に値しないとか、情けをかけること事態がそうしたことを助長するのだという批判も多々あり、この問題に医療関係者として日本で最も早く、かつ積極的に取り組んだわたし自身もその批判にさらされ苦境に陥っています。しかし、静岡県の場合は日系人労働者の比率が高く、静岡県、愛知県の両県で全国の日系人の3分の1が滞在するとされ、特に浜松市に急増しています。

 浜松市医師会では私が担当理事として昨年9月、市内の全医療機関に対してアンケート調査を実施しましたが、国別ではブラジル、ペルーの日系人を中心に30ケ国にわたっており、医療費支払いの形態としては約35%が浜松市の国民健康保険、ほか組合健保、政管健保、AIU旅行者保険などが約25%で自費は約40%もあり、内不払いはこの時点では0.5%でありました。これは自費の大部分を雇用主が負担した為ですが景気の後退と共に雇用事情も悪化し、すでに入院、手術といった多額となるケースで不払いも発生しております。テレビのズームイン朝によれば、横浜では単独の医療機関で互助会的な保険制度を作って対応している所もあるとの事だが赤字で大変なようです。

 浜松では浜松国際交流協会がフィリピン女性の飛び降り自殺を機に開かれたフィリピンフェアの収益金11万6千円を基に創設された「アジア人のための援助相談基金」の対象を全世界に拡充して医療費用の支払いの困難な例や悪質雇用主から逃げ出し、帰国費用の工面も出来ないケースでの援助を考えて活動しているらしい。医療の現場では不払いが発生すれば現在のところ治療を担当した医療機関が負担しなければならず、医療法上、医療機関は診療を求められれば拒否出来ないはずではあるが、国、県、市町村立の医療機関は税金で補填されるものの私立の医療機関では不払いに対して税制上の配慮すら全くなく外国人の受診の多い所では経営をも圧迫しかねない状態に追い込まれており、やむを得ず診療拒否もおこりつつある状況である。

 現在、私は静岡県医師会理事として、静岡県全域で先の浜松と同様のアンケート調査を実施している最中で年内には調査結果がまとまる予定である。その結果に基づいて国、県、市町村に対していろいろな要望を出して行くつもりであるが、我々の側でも何かやれることはないか、やはり私の個人的な考えとしては民間のボランティア基金を作るしかない、前記の様々な批判もあるがそれはそれで運用を慎重に考える事としてとにかくアクションを起こしたいと考えた訳です。それを平良内科で創設してもとても果実で運営できる本物の基金には育たない、やはり浜松市医師会の名前で創設したい。それにライオンズクラブ、ロータリークラブが協力する形でチャリティバザーを開催したい。そこへ平良内科のチャリティゴルフで集めた71万円余を浜松リバティライオンズクラブを通してつぎ込んで少しでも多くの資金を集めたい。目標額は特に決めていません。強いて言えば1億円以上、なぜなら、基金という以上は果実で運営できるまで育てたいからです。私たちのチャリティゴルフは医師会のチャリティバザーを引き出す呼び水の役割を果たし、そしてまたその医師会チャリティバザーが呼び水となっ て日本中に同様の輪が広がって初めて基金になり得るのだと思います。ですから一回のチャリティゴルフ、一回のチャリティバザーでの目標額ではなく、早い機会に本物の基金に育てたい、その最初のともしびを灯したいというのが今回の私の行動の動機です。


平成4年3月末現在の浜松市における外国人登録者は11,456人
 総人口557,319人に対する比率 2.1%
49ケ国にわたるが、ブラジル人6,132人、ペルー人836人など南米 地域からの日系人が6割を占めています。
不法就労者の実態はつかめていませんが、年々増加の一途をたどっていると言われています。


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