静岡県医師会
本県では平成3年秋に浜松市医師会が浜松市で、平成4年秋には静岡県医師会が県下全域で外国人労働者の医療に関するアンケート調査を実施致しました。外国人の受診者数の82.3%は診療所で、病院は17.7%でした。保険種別では自費が45.3%もありました。この中で医療費の未払いに関しては診療所で平成4年1-8月で27人、676,696円、病院では平成3年以前で18人、3,262,454円、平成4年1-8月で36人、4,193,565円と増加の傾向にあり、平成4年の受診者数の1.9%が未払いとっております。これらは現在医療機関の実質損益となっているのが現状であり、早急な対策が望まれるところであります。静岡県としては昨年10月の県議会での答弁によると「地方自治体が個別に独自の施策で対応するより、国において総合的な視点での検討と統一的な対応が図られる必要がある」との考えであります。
草の根の運動としては、浜松市医師会で昨年2月に浜松市の歯科医師会、薬剤師会や薬問屋、製薬メーカー、さらには外国人支援グループや福祉事業団、新聞社、テレビ局、ラジオ局、商工会議所、そしてライオンズクラブ、ロータリークラブ、ソロプチミスト、ベンチャークラブ、YWCA、青年会議所など市内のほとんどすべての奉仕団体の協力を得て外国人労働者医療援助基金創設のためのチャリティバザールを開催、その後も竹筒募金や寄付の受付などを続け、現在550万円余りの準備金で基金創設の目標とした1,000万円に向けて活動継続中であります。昨年8月に大内厚生大臣が基金創設の検討を発言された折りにはお手紙を差し上げて、是非全国規模で創設されるその基金に合流したいと推進のお願いを致しました。ただし、浜松市での運動は不法滞在外国人を念頭においたものではなく、制度的に日本国内に住むすべての人々を短期にしろ長期にしろ、また国籍を問わず国民皆保険の傘の下に入れて欲しいとの要望が根底にあり、結核やエイズなどの感染症の予防という観点からも地域社会の健康を守るために必要だという主張です。
不況のおり、外国人労働者は若干減少傾向にあるといわれておりますが、それゆえに医療費の未払いはますます増大しているのではないかと推測されます。しかし、外国人の受診者の多い病院では未払い額を公表することによりさらに未払い者が増えるというジレンマを訴えるところもあり、その実態は潜在化する傾向にあります。医療機関の経営危機が取り沙汰される昨今、さらに経営を圧迫しかねないこうした事態はせめて関東甲信越静の1都7県だけでもまず共同歩調を取り、まず関東甲信越静外国人労働者医療援助基金をつくることから始めてはいかがでしょうか。