静岡県医師会報(平成9年9月1日発行・第1198号)

編集後記

 今号のとびらのことばは富士宮医師会長の後藤哲先生に「思い出」と題して医師のおかれている立場の今昔を語っていただきました。その時代、時代の花形職種はインフレでその評価の修正を受け、その時点の花形職種は大幅アップ、かつての花形職種は小幅アップで、決して下げることなく上手に調整されていきます。医師数の増加に伴い、希少価値の薄れてきた昨今、医師は初任給調整手当という形でいつでも調整する必要がなければ廃止できるシステムになっており、すでに風前の灯。識者は「医師を経済的に追い込んでは国民は不幸になる」と厚生省にいろいろご提言いただいておりますが、不祥事報道はそれを否定する方向で進んでおります。今、医師会に求められているのは、ただ単に仲間内を守ることよりも、組織率を高めながら、自浄作用をきちんと発揮して、社会的に医師という職業が患者・国民の信頼を得続ける立場を守ることにあると思います。 私の6年間の理事生活の中で、後藤先生とは最初の2年間理事会でご一緒しました。役員旅行などで、ビデオの達人であることは承知しておりましたが、お車のお好きなことは知りませんでした。

 私も、マーキュリーモナークを皮切りに、サンダーバード、トライアンフ、ワーゲンゴルフなどいろいろ乗りましたが、ボディーが堅くて事故に強い車であれば基本的には中古車でよく、車というものは乗れればいいんだという考えでした。現在はフォードの2車種、それにデイケア送迎用のバスは日野製で、それに乗るため大型の免許まで取ってしまい、あきれられています。

 私の尊敬する榛原郡医師会加藤会長には「シャッポ」と題して後進の育て方、引き際の大切さを教えていただきました。私も、若くして序列の基本となる経験年数だけは重ねすぎてきただけに、別の視点で身につまされるものがございました。さらに、加藤会長には私の診療所宛に榛原郡医師会報を長年お送りいただいて、たいへんに感謝しております。私も分をわきまえて、老害・亡霊にならないよう生きていきたいと思いました。

 丸山技監にも就任のご挨拶をいただき、ありがとうございました。医系技監は時として両刃の剣になると常々思っていますが、それだけに医療機関と行政の橋渡し役として医師であることを十分認識・発揮して患者家族県民のためどうぞよろしくとお願い申しあげます。

( 平成9年8月20日 平良 章記 )

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