静岡県医師会報(平成9年11月1日発行・第1202号)

編集後記

 今号は盛りだくさんの内容になりました。とびらのことばは日医の生涯教育委員会委員でもある柳本議長に日医生涯教育制度はどうなるのかと題して苦しい現状とこのまま進めばまちがいなく訪れるであろう厳しい見通しを述べていただきました。是非、医師免許の上に認定医という屋上屋を重ねることなく申告率、達成率を高め、医師の生涯教育を医師会に任せておけないから厚生省でという世論形成に手を貸すことなく、危機感を持って医師会の存在意義を示さなくてはならないと私も思います。私の小型船舶1級の免許は取った時は終身免許でしたが、今は5年間の期限付きになり、その都度講習を受けて更新しています。医師免許は聖域ではないはずです。私たちは国民に私たちが医師であり続けることの妥当性の証を示す義務がある、それをお上の手に委ねてはいけないんだ、我々の手でそれを示すんだという気概が今必要なのではないでしょうか。それこそが申告の最大のメリットであるとご理解いただきたいと私は思い、機会ある度にお話ししています。

 児童虐待。数年前に私も学校医の総会に大阪府母子保健総合医療センターの小林美智子先生をお招きしてその隠れた現状についてお話をいただきましたのでご記憶の方もあろうかと思います。脳卒中登録評価事業、乳幼児医療費助成制度の現物給付への変更についてのお知らせ等、全ての内容に触れることができませんが、インターネットについての私の記事もお目どうしいただけるとありがたいと思います。時代は確実に変化しつつあります。数名の実力者で組織が動く時代はもうすぐ終わります。レセプト開示、いずれはカルテの開示へと続き、数年後には医療内容はすべてガラス張り。医師には免許更新のテストも定年制も必要ないのです。常に研鑽を積み、自分の担当する患者について他の医師と真摯にディスカッションできるレベルを維持することのみが医師として求められている要件だと思います。
                                   

(平成9年10月18日 平良 章 記)

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