静岡県医師会報(平成10年12月15日号・第1227号)
編集後記


 今号の「とびらのことば」は、医師会と広報活動と題して、県医師会広報担当主任理事の菅ヶ谷先生に、医師会の内部および医師会の外部(一般県民)に対する広報について語っていただきました。医業広告の問題、カルテ開示の問題、インフォームドコンセントと称される患者さんへの納得いくまでの情報提供などすでにさまざまの問題が起こりつつあります。電子カルテも時代の流れという側面だけでなく、AIDSの非加熱製剤投与の調査で5年の保存義務期間を過ぎた資料が入手困難になっていたということも関係しています。なぜ5年なのか。結核との絡みを指摘する声もありますが、厳密な根拠はないようです。ならば、電子カルテにして永久保存を義務づけようかというわけです。私もおくればせながら院内のLAN(Local Area Network)を構築しました。業者を入れずに一人で数少ない自由時間を利用して少しずつやるので、設計から完成まで4ヶ月もかかってしまいました。これから電子カルテのお試し版を入手して使い勝手を検討しますので、いずれは導入されるであろう会員の皆様にその結果をお知らせして、参考に供したいと思います。

医業広告もかつて中部医師会連合で私が関わったこともあり、関心を持って見ています。浜松市医師会では、伝統的に駅の構内へ看板を立てないといったようないくつかの広告に関する紳士協定があり、別に罰則はありませんが比較的良く守られていました。近年、看板の大きさや医療法違反と思われる内容を記載したものなどがちょくちょく見られるようになり、広告規制の緩和との絡みで対応に苦慮することもあります。特に新規開業の場合は、広告業者任せとなることが多く、当人にとっても不本意な看板が立てられる事例もあるようです。どのような場合でも、一人医師医療法人、個人開業に拘わらず、結局はその開設者・管理者がその全ての責めを負うことになりますので、改めて身を引き締めて点検・確認作業をする必要があると思いました。

 

(平成10年11月29日 平良 章 記)

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