静岡県保険医協会報

『日常診療に見る皮膚疾患』に参加して
保険医協会勉強会

                                                      西部支部世話人 平良 章


 まず感心したのは、ほとんど水虫だけで講演時間の大半を費やされたこと。「たかが水虫、されど水虫」。水虫の奥の深さを思い知らされました。知っているようで知らないこと、私たちの水虫についての断片的な知識をきちんと整理して話してくださり、本当の翌日からの診療にそのまま役立つ講演でした。汗疱状白癬という用語も何気なく使ってきましたが、小水疱型にはぴったりかもしれないが、趾間型、角質増殖型ではおかしい名前だなあと初めて思いました。

 手足の白癬菌症以外にも陰股部白癬(いんきんたむし)、駆幹白癬(ぜにたむし)、頭部白癬(しらくも)など豊富な自験例を見せていただきました。似て非なるものとの鑑別診断として、掌蹠膿疱症、ヴェンデ氏角質剥離症、カンジダ性指間糜爛症など見せていただき、そんなもんじゃない事は重々分かっていながらも、何かベテランの皮膚科医になったような、そんな錯覚すら覚えてしまいました。検査についても検体採取のこつを教えていただき、正しい診断につなげられそうです。治療については、なんとなく夏はクリーム、冬は軟膏みたいな思い違いをしていたことがきっぱり否定され、種類は少ないけれども軟膏の方が良い事を知りました。塗り方のコツも教えていただき、患者さんへの指導に自信を持って出来そうです。そして予防。外来でスリッパを使用している私はちょっと恥ずかしく、大いに反省して近々の改善の方策を検討開始しました。

 また、私たちが最も知りたい「こんな場合は皮膚科への転医を勧めるのが得策(7つのターニングポイント)」1、診断の見当がつかない。2、治療には特別な器械や道具・材料が要る。3、広い範囲に病変がある。4、病変は小さいが症状が強い。5、他医で医治を受けていたが経過が捗捗しくない。6、範囲・症状が増強傾向にある。7、原因不明の再発を繰り返す。と教えていただきました。


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