静岡県保険医協会報

『生活習慣病のおもしろ健康科学』報告
平成16年度保険医協会西部支部・文化講演会

                                                      西部支部世話人 平良 章


 たいへん楽しい講演でした。2年ほど前に、静岡で三共・メガスタディの研究終了の講演会で森谷教授の講演をお聞きしてから、なんとか浜松でも、今度は一般の方にも是非聞いていただきたいと思って提案させていただいて実現した講演会でしたが、ドクター向けの話しとはうって変わって、自分でも吉本みたいとおっしゃるようにおなかを抱えて、涙を流して笑い転げるような話し振りでした。ご自分の生い立ちから、現在の有り様まで身振り手振り、ステ−ジから客席まで歩き回り、体脂肪率9.8%の鍛え上げた足をチラッと見せたり、さすが毎日8km歩く有言実行の先生だなと思いました。

 体の使わない部分はどんどん衰えていく。心臓も筋肉も頭も使わないと急速に衰えていく。NASAの実験で3W完全に寝かせっきりにすると、30年分の機能低下が起こるという。骨折して入院したりしてそのまま寝たきりになる人も多い。101歳のプロスキーヤーの三浦雄一郎さんが、鎖骨だか肋骨だかの骨折で入院して4日目には足の運動からリハビリを再開したとか。とにかく体を動かさなくてはいけない。まず5分からでも始めようと力説されました。

 誤ったダイエット方法の氾濫していることにも鋭くメスを入れられました。脂肪を1kg燃やすためには7000キロカロリー、8kgは56000キロカロリーのエネルギー消費が必要であり、毎日5分散歩して365日で7000、一ヶ月断食して1800×30で54000キロカロリーであり、数週間で8kg痩せる事は不可能であること、運動せずに痩せるには肝臓や筋肉のグリコーゲンを糖新生でグルコースに戻すが、この際グリコーゲン1に対して水2が必要であり、主に水の減少で体重が減少するに過ぎないこと、血液脳関門を通るエネルギー源はグルコースだけなので炭水化物を減らした食事をすると自らの筋肉を食いつぶして脳へエネルギーを送らなければならず、見た目はスリムになっても脂肪は減らずにそっくり残り、筋肉だけがなくなった哀れな状態になると述べられました。

 また、冬こそコートを脱いで、エネルギーを燃やし、自律神経の鍛錬をする絶好の機会と話されました。私も、靴を履くとき以外は年中、冬でも裸足の主義なので大いに意を強くしました。


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