おはようございます。浜松市医師会理事の平良 章です。
私の担当する消化器疾患の第四週目です。今週も食道の病気の続きから始めます。
今日は食道にできる出来物のお話しをします。食道の内側に膨らんでくるものとしては一番心配なものは食道癌、肉腫、そして前回お話しした食道静脈瘤などがあります。他に良性の腫瘍もあります。いずれにしても内側へ張り出して来るのですから通過障害を起こし、ものが飲み込みにくい、つかえっぽいなどの症状が出ます。つまりものが飲み込みにくいからといって癌とはかぎらないわけです。前回お話しした食道狭窄や食道神経症も同じ症状です。食道癌は50才、60才代の男性に多く、食道の粘膜が扁平上皮で出来ている為種類としては扁平上皮癌が多いのです。また、食道の筋肉は平滑筋で出来ているのでそこに出来る悪性腫瘍を平滑筋肉腫といいますが粘膜よりも下にありますから癌よりも発見が難しく癌よりも通過障害が軽いのが特徴です。平滑筋には良性の腫瘍もできます。良性の場合は小さい場合は症状がなく5センチ以上になると通過障害が出るといわれています。良性でも通過障害が出ればもちろん手術が必要です。悪性では癌も肉腫もとにかく小さいうちに早くみつけてその部分を手術で切り取ることが必要です。バリウムを飲んで行う胃のレントゲン検査の時に一緒に食道も診
るのが普通ですから定期的に胃癌検診を受けていれば良いと思います。胃癌も食道癌も悪性腫瘍は若いほど進行が早いので出来れば半年に一度は検診を受けたいものです。早いうちにみつけて切り取ればおできみたいなもの、早期癌の治療成績は飛躍的に向上しています。(それでは今日もお元気で!)
食道の壁の一部が外側へプヘッとふくらんで出来る袋状のものを食道憩室といいます。憩室は消化管のあちこちにできますが、十二指腸憩室、大腸憩室などが代表的です。食道憩室にはひどく吐いたりして食道の中の圧力が高くなって食道の壁の弱い部分を押し広げる内圧性憩室と食道周囲の組織にひっぱられて出来る牽引性憩室があります。症状がまったくない場合が多いのですが時にものが飲み込みにくいとか腹部不快感が出ることもあります。バリウムを飲んでのレントゲン検査でバリウムが食道からはみだして袋状に写りますから簡単にわかりますが、普通は治療をせずに定期検査で様子を見ます。しかし憩室内に癌が発生したり、出血したり破れたりしたら手術が必要になります。
食道アカラシアというのは、食道から胃へ入る辺りが何等かの原因で開きにくくなりそこから上の食道が異常に膨らんでしまう病気です。食道中下部の蠕動がなく食道と胃のつなぎ目が緩まないという機能異常のためにおこり、特発性食道拡張症とも呼ばれます。症状としてはやはりものが飲み込みにくい、つかえる感じがする、圧迫感、不快感などがみられます。進行すると通過障害がはっきりしてきますが、食道狭窄とは逆に固形物よりも水分の方がとうりにくいのも特徴の一つです。膨らんだ食道にたまった食物が夜寝ている間に逆流して気管へ誤飲して激しく咳込むこともあります。治療法は薬で拡げる方法、金属製の拡張器かバルーンという風船のようなものを膨らませておし拡げます。それでだめなら手術です。精神的緊張、妊娠で悪化すると言われます。ストレスは上手に発散しましょう。(それでは今日もお元気で!)
今日から胃の方のお話しに入ります。まず、急性胃炎です。