静岡県医師会報(平成9年4月15日発行・第1189号 とびらのことば)
静岡県医師会理事 平良 章
昨日(3月23日)、午前8時16分のこだまで出かけ、パシフィコ横浜で行われた医療の情報化のセミナーに参加して、夜21時50分浜松着のこだまで帰りました。1セミナー3千円で、6セミナーに参加して1万8千円払いましたが、ゴルフに行くよりもずっと有意義であったことはいうまでもありません。私が、3月27日締め切りのこの原稿に何故今日まで手を付けなかったか。勿論日々の超多忙と、それにかこつけた怠け癖もありましょうが、特にこの昨日の会議の内容と一昨日の代議員会でインターネットの予算が通るかどうかを見極めてからにしたいという思いからでした。快いカルチャーショックでした。広報部で、今年からこの「とびらのことば」は、趣味のことなど少し軟らかい話にしようという意見にまとまり、平良君には先ずはインターネットの話をと指名されましたが、すでに私にとってのインターネットは趣味の領域を越え、必要に迫られ、義務に追いまくられる厄介な存在にすらなりつつあります。予算が通り、次年度中に静岡県医師会のホームページを開設しなければならない。次年度末は平成10年3月31日。私の任期も同じ。パソコンにさわって1
年半の素人がこれに挑むわけです。どなたか詳しい方、是非お助けいただきたいと切にお願いいたします。
本当の私の趣味というか、今再び夢に描いていることは、子供の頃の夢だったオーケストラのトランペットを吹くことです。18歳の時、渡米を阻まれてすぐ琉球大学法科を中退し、ジャズバンドの誘いも断って、翌年からはひたすら医学の道に専念してきました。いま落ち着いて、残りの人生を考えるとき、どうしても忘れられない夢。もうくちびるも肺活量も昔とは全く違うことを承知の上で、それでも誰憚ることなくもう一度大きな音を出してみたい。全然音が出なくて泣き出すかもしれないと思いつつも、昔得意だったトランペット協奏曲のトランペット用のカラオケも手に入れました。そのためにどうしても地下室を作りたいとの計画も軌道に乗り、この7月には完成する予定です。2階には理学療法室を移し、その隣に50坪ほどのホールを作ることにしました。徳島大学の演劇部に籍を置いたこともある私としては、草の根の文化を育てたい、地域の音楽好きの仲間に発表の場を無償で与えたい。講演会や映写会、カラオケ大会もいいだろう。そうすると噂を聞きつけて平日はどうするの、理学療法室の隣りだし、作業療法をやってよということで、数名のスタッフが自分たちの理想のデイケア
を実現したいと集まってきました。なんとか決心がついたところで、今度は診療報酬でしばりがきつくなったとのこと、一体どうなることやらと心細い限りですが、職員や患者さんをがっかりさせるわけにはいかないと腹をくくっています。
さて、静岡県医師会のホームページ。どのような構成で、何と何を入れればいいのか。近々アンケート調査を行って会員諸兄のお知恵もお借りしながら進めていきたいと思います。最近はホームページを自分で作る人も増えていて、そのためのガイダンスやソフトも出回っています。わからないなりにまたまた向こう見ずにそういうソフトに手を出して、まずは自分一人で責任のとれる自分のホームページを試しに作ってみようかと計画を立ててみました。浜松は地元だし、業者との接触もあり、情報も得られやすいと思うので良い業者を見つけて浜松市医師会のホームページを先行させたいと考えています。静岡では業者と合う機会も殆どないし、事務局の中にはまだインターネットにアクセスしたことのある職員もいないし、なかなか苦しい状況です。しかし、パソコンに触っているととにかく時間がない。夜は会合のない日は滅多にないし、結局は昼間の診療時間中、診察と診察の合間にマウスを操作するといった状態なので、とても落ち着いて作れないのが悩みの種です。今年の予算は10ページ。足元を見られてふっかけられているような見積もりだと感じています。それをどうやって値切って、自
分たちでやれることは自分たちでやって、同じ予算の枠内でせめて50ページくらいには膨らませたい。頭の痛い話です。あまり貧弱にならないように、たとえ他人のふんどしで相撲を取るなと非難を浴びても、リンク、リンクで県民が多彩な有益な医療情報をリアルタイムに得られるようにもしたいと思います。暗中模索の悪戦苦闘なので、会員の総力を結集してことにあたらなければと思っています。
先の横浜のセミナーで、現代医療は規模が拡大し過ぎて、高度に専門細分化していくなかで統合機能を失い、医療現場はますます多忙化し、医師は体力勝負、患者さんへの説明もままならず、他方医療経費は増大し、すでに危機的状況に陥っている。これを打開する方策は医用情報化と遠隔医療しかないとのお話がありました。患者さんを中心に据えて、その医療情報を地域の医師と高次機能病院の専門医とが共有、ディスカッション、アドバイスを得ることによって的確な判断とコストの節減が図られるというわけです。医師の総ネットワーク化の必要性はいくら声を大にしても言い過ぎることはないと私も思います。医師会のインターネット利用は、近い将来構築されるべきイントラネットを通して、会員・非会員を問わず静岡県内のすべての医師のネットワーク化を図る一つの踏み台になることを目指します。そして、医師のみならずすべての医療関係職種の意見交換・連携の場として発展させていきたいとの夢を持っています。その足がかりとなる1年となりますようご協力をよろしくお願いいたします。