平成8年度学校検尿集計に寄せて

(静岡県医師会学校保健担当理事 平良 章)

 平成8年度の学校検尿集計がまとまりましたので、ご報告いたします。今後の児童生徒の健康管理にご活用いただければ幸いです。数字的には例年と大差有りません。ただ、小、中学校の無症候性血尿が清水市で、中学校の無症候性蛋白尿が静岡市で増加傾向にあるようで、今後の動きが注目されます。学校検尿における糸球体腎炎の発見率も一般診療からみたその発症率程度となり、逆に無症候性血尿や無症候性蛋白尿の長期観察例など過剰管理を含む不利益が問題となって、今後の学校検尿のありかたについてさまざまな議論が展開されています。しかし、初期には何ら自覚症状のない糖尿病や腎、尿路疾患など早期発見、早期治療または定期的な健康チェックに果たす役割は計り知れないものがあります。そういう意味でも一次、二次の陽性者中精密検査を受診した方の割合をみると、小学校では88%であり、中学校にいたっては77%と少なくなっています。特に一定の都市部で非受診者が多い傾向がみられますのでなんらかの方策が必要かと思われます。精度管理面は精度管理委員会のご努力のおかげで、かなりバラツキは少なくなってまいりました。しかし、全国的にも糖、蛋 白、潜血いずれについても(+)以上を陽性とするところ、(+)以上を陽性とするところなど、それぞれの考えで統一されるまでに至りませんので、日本医師会学校保健委員会の指導力に期待したいと思います。

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