第17回合同医局新年懇親会の開催にあたって
<抜粋>

浜松市医師会副会長・県西部浜松医療センター副院長(非常勤)  平良 章

 先日、クリニックマガジン社から新年号(平成10年1月1日号)企画ということで、全国の医家100人から「小泉純一郎厚生大臣への提言又は要望」と題する企画への参加依頼があり、それぞれのテーマに対して2,3行のコメントを書く方式でした。翌日にはFAXで返送しなければならない、あまりじっくり考えさせないという戦法のように感じましたが、設問と私の瞬時の回答は次の通りでした。

 「1」ポスト薬価基準制度として日本版参照価格制度を導入することに対して
    答:やむをえないと思う。ただし、実施に当たってはゾロ品の薬価の生産・輸入コストに基づくさらなる適正化が必要と思われる。

 「2」3年連続となる薬価基準の改定に対して
    答:実勢価格に基づく薬価改定は企業努力をしないメーカーの薬価を高く維持する矛盾があり意味がない。生産コスト、輸入コストを反映した改定なら3年連続でも5年ぶりでも良い。

 「3」医療保険の制度改革に対して
    答:社会情勢の変化に即した改革は常に必要である。しかし、今般の医療保険改革は医療の議論より財政の議論になっているのが問題。省庁の枠を越え、例えば学校の空き教室でデイサービスをやるとか、保育所との共存などの視点も欲しい。

 「4」介護保険法を施行するに当たって
    答:矛盾に満ちた認定制度、実施主体の規模別体制整備状況の著しい違い。財政優先で議論の煮詰まらぬうちのスタートで、必死で取り繕いを連発することになるでしょう。貧しかった頃のつぎはぎだらけのもんぺや靴下を思い出します。

 「5」その他、例えば規制緩和による病院薬局の法制化や大衆薬をコンビニで販売すること等についての提言または要望すること
    答:薬の知識のない一般の人たちが宣伝に踊らされて多数のクスリを相互作用も考えずに飲んでいるのは危険である。たとえゼロ割給付でも医師による処方、薬剤師による調剤を基本として欲しい。

 3日たった今となっては、少し推敲の時間が足りなかったなと思うところもありますが一応返送した原文のままです。多くの問題が含まれていますが、私たち医療界の人間にとっても、一般国民にとってもいい話はひとつもありません。それは国の財政が破産寸前にあるからで、それを国民に転嫁すること以外再建の方策を見いだすことのできない人たちで国の政治と行政が動いているからです。国家予算の70%あまりを占める土木予算。年末、年度末にはあいかわらずの縦割り行政の弊害でそこら中の道路を掘り返し、懲りることを知りません。それは利権が収入のみならず同時に票に結びついているからで、農家を筆頭とする補助金行政とともに大きすぎる政府のリストラできない要因と思われます。思い切って所得税を半分にし、公共投資をゼロに近づけるとともに補助金は原則廃止くらいのことをやらないとこの瀕死の国を救うことはできないのではないでしょうか。国民負担ばかり増やして消費意欲をそぎ、回復しかけた景気にやれ医療の一部負担増、やれ介護保険料の親切と冷水を度々ぶっかけるやり方は決して得策でないことに早く気がついて欲しいものです。今こそ国民負担を減らし、消費 意欲を刺激してこそ民間活力も期待できるというものです。道路や公共施設は税金で作らなくてはいけないという考えはそろそろ見直してもいいのではないでしょうか。公共施設も民間で作ってリーズナブルな利用料金をいただけばいいし、その方が無駄もなくサービスも向上すると思います。

 しかし、大蔵省は税金を公的資金と称してまったく自分たちのお金であるかのように錯覚しているらしく、大蔵関連の民間企業である住専や金融機関の破綻に平気で使ってしまう無神経さです。なぜ大蔵関連だけなのか、公的な潰れては困る企業は医療も含めて山ほどあるというのにです。執行機関にすぎない行政が、まるで当然のように自分たちに都合のいいように法律を作り、政治家は本業である立法権をほとんど行使せず、三権分立なんて教科書の中にしか見当たらない有様です。

 私は「人口100万人程度の行政単位。介護保険はそれでないととてもできない。国会議員は全国一区。それでないと利権や補助金と票との腐れ縁が切れない」というのが持論ですが、夢のまた夢でしょうか。

 しかし、全国一区の選挙はインターネットの爆発的な普及でいずれ可能になると思います。電子マネーによる決済が論じられている昨今、個人認証の技術はめざましいものがあります。 私もパソコン歴3年6ヶ月、E-mailというのが何のことかついこの間まで知らなかったど素人ですが、県医師会の情報調査担当ということでついついホームページの作成を提案し四苦八苦しておりますが、12月24日には立ち上がることとなりました。次は続いて浜松市医師会のホームページの制作に取りかかる予定ですので、ご協力をよろしくお願いいたします。県医師会の方は、今後は一人で運営、構成の見直し等も含めたメンテナンスをしていくのは無理であろうと思われますので、県内各地のパソコンやインターネットに詳しい会員の先生方を募って委員会を設置する必要があると感じております。

 そのためにも、ぜひテレビ会議システムを導入したいというのが私の次の目標です。そうすれば、県都から遠く離れた会員でも、仕事を休むことなく会議に参加できるからです。浜松から出掛けて県の仕事をしていると、テレビ会議があればこの程度のことで代診を頼んで出かけることもないのになと思うこともしばしばです。もちろん一堂に会しての会議の必要性がゼロになるわけではありません。しかし、保険の説明会やマルマル担当理事連絡協議会、10人以下の委員会などはテレビ会議で十分だと思います。しかも患者さんに迷惑をかけることなく夜やれます。私には百利あって一害なしの理想のシステムに見えて仕方ありません。

 医療センターのホームページも待ち遠しいものです。浜松市医師会との連携もさらに深まるものと期待しております。


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